「親が施設に入ることになり実家を売って費用にあてたいが、認知症が進んでいて契約行為が難しい」というご相談は、不動産の現場でも珍しくありません。本人の判断能力が不十分な状態のままでは、不動産の売買契約を有効に結ぶことができず、そのままでは実家の売却も進められなくなってしまいます。この記事では、そうした場面で関わってくる「成年後見制度」について、守谷市の窓口情報とあわせて整理します。
- なぜ認知症が進むと不動産を売却できなくなるのか
- 成年後見人が本人に代わって不動産を売却できる根拠
- 守谷市の成年後見制度中核機関とは
- 申立て先と費用の目安
- 元気なうちに備える「任意後見制度」という選択肢
- 成年後見制度の3つの類型(後見・保佐・補助)と不動産売却の関係
- 成年後見の申立てから実家売却までの流れ(図解・期間の目安)
- 居住用不動産の売却許可で家庭裁判所が確認するポイント
- 売却代金は誰のもの?親族が自由に使えない理由と注意点
- 成年後見人は誰がなる?親族後見人と専門職後見人の違い
- 成年後見だけじゃない!実家売却の選択肢を比較(任意後見・家族信託・生前売却)
- 実家売却にかかる費用と税金の基礎知識(相続税・譲渡所得)
- 守谷市で実家を売却するときの地域ポイント
- 相続や遺産分割とのつながりに注意
- 今のうちにできる準備チェックリスト
- 実家の売却を見据えた早めの相談を
- よくある質問(FAQ)
- まとめ
なぜ認知症が進むと不動産を売却できなくなるのか
不動産の売買契約は法律行為であり、契約の意味や内容を理解したうえで意思表示できる「意思能力」が本人にあることが前提です。民法3条の2では、意思能力を欠く状態で行った法律行為は無効であると定められています。認知症が進行し、判断能力が著しく低下した状態で不動産の売買契約書に署名しても、あとから契約の有効性が争われるリスクがあり、実務上は金融機関や司法書士も契約を進めにくくなります。この状態を解消するために利用されるのが成年後見制度です。
成年後見人が本人に代わって不動産を売却できる根拠
家庭裁判所から選任された成年後見人は、本人に代わって財産管理や契約行為を行う権限を持ちます。ただし、本人が実際に住んでいる(または住んでいた)居住用不動産を売却する場合は、民法859条の3により、あらかじめ家庭裁判所の許可を得ることが必要とされています。これは、本人の生活の場である不動産を後見人が安易に処分してしまうことを防ぐための仕組みです。許可を得るまでには一定の期間がかかるため、施設入居のタイミングなどから逆算して早めに手続きを始めることが重要です。

守谷市の成年後見制度中核機関とは
守谷市では「守谷市成年後見制度利用促進基本計画」にもとづき、市役所健幸長寿課に「守谷市成年後見制度中核機関」を設置しています。中核機関は、制度の普及啓発、相談対応から申立書作成の手伝い、地域ネットワークの構築、そして後見人等への支援(後見事務の報酬に対する助成を含む)という4つの取り組みを行っています。「何から始めればいいか分からない」という段階でも、まずはこの窓口に相談することで、申立てまでの流れを具体的に案内してもらえます。
申立て先と費用の目安
守谷市に住所がある場合、法定後見の申立て先は水戸家庭裁判所龍ヶ崎支部です。申立てにかかる費用の目安は、印紙代・登記手数料・郵便切手代などをあわせておよそ20,000円から30,000円程度で、家庭裁判所が本人の判断能力の鑑定が必要と判断した場合は、別途50,000円から100,000円程度の鑑定費用がかかります。申立てを行えるのは本人、配偶者、四親等内の親族などで、申立てを行う親族がいない場合は市区町村長による申立ても可能とされています。
元気なうちに備える「任意後見制度」という選択肢
判断能力が十分あるうちに、将来に備えて自分で支援者と支援内容を決めておく「任意後見制度」もあります。守谷市に住所がある場合、任意後見契約の締結は取手公証役場で行います。実際に判断能力が不十分になった段階で、家庭裁判所(水戸家庭裁判所龍ヶ崎支部)へ任意後見監督人の選任を申し立てることで支援が始まります。「実家をいずれ売却するかもしれない」という見通しがあるなら、判断能力が十分なうちに任意後見契約を結んでおくことで、将来の手続きがスムーズになります。
成年後見制度の3つの類型(後見・保佐・補助)と不動産売却の関係
成年後見制度は、本人の判断能力の程度に応じて「後見」「保佐」「補助」の3つに分かれています。実家の売却を考えるご家族にとっては、どの類型になるかによって、売却で誰が何をできるのかが変わってくる点が大きな問題です。まずは全体像を押さえておきましょう。
| 類型 | 判断能力の目安 | 不動産売却との関わり |
|---|---|---|
| 後見 | 判断能力を欠く常況にある | 成年後見人が本人に代わって売買契約を結ぶ。居住用不動産は家庭裁判所の許可が必要 |
| 保佐 | 判断能力が著しく不十分 | 不動産の売却は保佐人の同意が必要な行為。代理権を付与する申立てをするケースもある |
| 補助 | 判断能力が不十分 | 原則は本人が契約できる。補助人の同意や代理が必要な範囲は審判で個別に定める |
どの類型に当たるかは、医師の診断書や家庭裁判所の判断によって決まります。ご家族だけで「後見が必要だ」と決めつけることはできないため、かかりつけ医や地域包括支援センター、司法書士などの専門家に早めに相談しておくと安心です。
成年後見の申立てから実家売却までの流れ(図解・期間の目安)

実家を売却して施設入所費用にあてたい場合、おおまかには次の順番で進みます。
- 家庭裁判所へ後見開始の申立て(申立書・診断書・財産目録・戸籍などの書類を準備)
- 審判が確定し、成年後見人が選任される
- 不動産会社へ査定を依頼し、売却活動を進めて買主と条件を調整する
- 居住用不動産の売却許可を家庭裁判所に申し立てる
- 許可後に売買契約の効力が生じ、決済・引渡しを行う
申立てから審判までは、1〜4か月程度で終わるケースが多いとされますが、書類の不備や本人の状況によって前後します。そのうえで売却の許可申立てにも日数がかかるため、「いつまでに入所費用が必要か」を先に確認し、逆算して準備を始めることが重要です。なお、実務では家庭裁判所の許可を条件(停止条件)とした売買契約を結んだうえで許可を申し立てる進め方が一般的です。具体的な手順は事案ごとに異なるため、司法書士や家庭裁判所の窓口で確認してください。
居住用不動産の売却許可で家庭裁判所が確認するポイント
家庭裁判所は、本人の生活の場である居住用不動産を処分してよいかどうかを慎重に判断します。許可の申立てでは、次のような点を説明できるように準備しておくと、手続きがスムーズです。
- 売却の必要性(施設入所費用や介護費用をまかなう必要があるか、他に預金や資産で対応できないか)
- 売却価格の妥当性(不動産会社の査定書など、相場を裏付ける資料があるか)
- 売却先・条件の合理性(極端に安い価格で特定の人に売るような内容になっていないか)
- 売却後の本人の生活への影響(入所先が決まっているか、戻る見込みがないか)
特に価格の妥当性は重要です。査定は1社だけでなく、複数の不動産会社に依頼して比較しておくと、説明の材料になります。ハウスドゥ 守谷でも、守谷市内の戸建て・土地・マンションの査定相談を承っています。
売却代金は誰のもの?親族が自由に使えない理由と注意点
成年後見制度を使って売却した場合、代金はあくまで「本人の財産」です。成年後見人は本人のために財産を管理する立場であり、売却代金を子どもの住宅資金や生活費に充てたり、他の相続人へ贈与したりすることは原則として認められません。使い道は、本人の介護費用・施設の入居金・医療費など本人の生活のために限られ、後見人は家庭裁判所に定期的に報告を行います。
ご家族の間でよくあるトラブルとして、「売れたお金は将来どうせ相続するのだから先に分けたい」という要望が出るケースがあります。しかし、この考え方は後見制度の趣旨に合いません。相続税や遺産分割の問題は本人が亡くなった後に整理するもので、生前の段階では本人の資産を守る対策が優先されます。
成年後見人は誰がなる?親族後見人と専門職後見人の違い
後見人の候補者として親族を立てることはできますが、最終的に誰を選任するかは家庭裁判所が決めます。本人の財産額が大きい場合や、親族間で意見の対立がある場合は、弁護士・司法書士などの専門家が後見人に選ばれたり、後見監督人が付いたりすることもあります。
| 項目 | 親族が後見人になる場合 | 専門職が後見人になる場合 |
|---|---|---|
| メリット | 家族の事情を理解した管理がしやすい。報酬が不要または抑えられる場合がある | 法律・財産管理の知識があり、不動産売却の手続きや書類対応を任せやすい |
| 負担・注意点 | 財産目録や収支報告など事務負担が大きい。親族間のトラブル対策が必要 | 家庭裁判所が決定する報酬が継続して発生する。誰が選任されるか希望どおりにならない場合がある |
報酬は家庭裁判所が本人の財産状況などを踏まえて決めます。守谷市では報酬助成の制度が設けられていることもあるため、詳しくは市の担当窓口(健幸長寿課)へご確認ください。
成年後見だけじゃない!実家売却の選択肢を比較(任意後見・家族信託・生前売却)
「後見制度は手続きが重い」と感じる方も多く、判断能力が十分なうちであれば、別の方法で備えることも検討できます。主な選択肢を比較してみましょう。
| 方法 | 利用できる時期 | 売却のしやすさ | 家庭裁判所の関与 |
|---|---|---|---|
| 成年後見(法定後見) | 判断能力が低下した後 | 後見人が売却。居住用は許可が必要 | 審判・許可・報告など継続的に関与 |
| 任意後見 | 判断能力があるうちに契約。効力発生は低下後 | 任意後見人が売却。監督人が付く | 任意後見監督人の選任が必要 |
| 家族信託 | 判断能力があるうちに契約 | 受託者が信託財産として売却しやすい | 原則関与しない |
| 本人が元気なうちに売却・住み替え | 判断能力があるうち | 本人が契約できるためスムーズ | 関与しない |
売却を視野に入れている場合は、早めにご家族で話し合い、方向性を決めておくのがおすすめです。「どれが正解」というものではなく、財産の内容・家族構成・本人の意向によって最適な方法は変わります。
実家売却にかかる費用と税金の基礎知識(相続税・譲渡所得)
売却では、仲介手数料や印紙税、登記関係の費用などが必要です。仲介手数料は、売買価格が400万円を超える場合、「売買価格×3%+6万円+消費税」が上限の速算式になります。また、売却して利益(譲渡所得)が出た場合は税金の対象となり、所有期間が5年を超える場合の税率は一般に20.315%(所得税・復興特別所得税・住民税)です。
親が住んでいた家を売る場合、一定の要件を満たせば「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除」が使える可能性があります。住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却することなどの条件があり、施設入所で空き家になったケースには別の取り扱いもあります。要件は細かいため、国税庁の案内や税理士に必ず確認してください。
費用や税金の全体像は守谷市の不動産売却にかかる費用と税金、売却に必要な書類は守谷市の不動産売却に必要な書類でも整理しています。
守谷市で実家を売却するときの地域ポイント
守谷市は、つくばエクスプレス(TX)の守谷駅や関東鉄道常総線の守谷駅周辺、みずき野、百合ケ丘など、住宅地ごとに特徴が異なります。査定額は、土地の面積や形状、築年数、駅からの距離、前面道路の状況、周辺の取引事例などを総合して決まります。同じ守谷市内でも、エリアや物件の種類(一戸建て・土地・マンション)によって売却のしやすさが変わるため、売却前に概算の査定を取っておくと資金計画が立てやすくなります。
築年数が古く、荷物や家財が残ったままの実家は、買取(不動産会社が直接購入する方法)を検討すると、片付けや修繕の負担、売却後の責任を軽減できる場合があります。一方、時間をかけて高く売りたい場合は仲介が向いています。どちらが適しているかはケースによって異なるため、まずは相談してみてください。
相続や遺産分割とのつながりに注意
本人が亡くなった場合、成年後見は終了し、不動産は相続人全員の共有財産となります。実家の名義が本人のままであれば、相続登記を行い、遺産分割協議で誰が取得するか、売却して代金を分けるかを決める必要があります。相続人が複数いる場合は、協議がまとまらずに売却が進まない問題も起こりがちです。相続手続きの全体像は相続した不動産の相談ガイド、相続税の申告期限は相続税の申告期限10か月の記事もあわせてご覧ください。
今のうちにできる準備チェックリスト
- 登記簿謄本(登記事項証明書)や権利関係の書類、固定資産税の納税通知書の保管場所を確認する
- かかりつけ医・地域包括支援センターに現在の状況を相談する
- 兄弟姉妹など相続人となる家族で、実家をどうするか話し合っておく
- 家財・荷物の整理、境界資料や建築関係書類の確認を進める
- 概算の査定を取り、売却した場合の手取りや入所費用の資金計画を確認する
これらを事前に進めておくだけでも、後見の申立てや売却の手続きが大幅に楽になります。不安な点があれば、ハウスドゥ 守谷までお気軽にご相談ください。
実家の売却を見据えた早めの相談を
成年後見の申立てから審判までは一定の期間がかかり、さらに居住用不動産の売却には家庭裁判所の許可も別途必要になります。「施設の入居費用を実家の売却でまかないたい」という場合、費用が必要になる時期から逆算して、後見制度の利用と不動産売却の両方を早めに並行して進めることが大切です。不動産会社への査定相談は後見人選任前の段階からでも可能ですので、まずは概算の売却価格を把握しておくと、その後の資金計画も立てやすくなります。
よくある質問(FAQ)
Q. 認知症の親名義の実家を、子どもが代わりに売ることはできますか?
A. 親権のような包括的な代理権は子どもに自動的には認められません。成年後見人として家庭裁判所から選任されるか、判断能力が十分なうちに任意後見契約や家族信託などの準備をしておく必要があります。
Q. 成年後見人になれば、すぐに実家を売却できますか?
A. 本人が住んでいる(住んでいた)居住用不動産の場合、成年後見人の選任後も、売却前に家庭裁判所の許可を別途得る必要があります。許可には一定の期間がかかるため、早めの準備が必要です。
Q. 守谷市で成年後見の相談はどこにすればよいですか?
A. 守谷市役所健幸長寿課(電話:0297-45-1111)が守谷市成年後見制度中核機関の窓口です。ほかに守谷市北部・南部地域包括支援センターや守谷市社会福祉協議会でも相談を受け付けています。
Q. 成年後見人の報酬はどのくらいかかりますか?
A. 専門職後見人(弁護士・司法書士など)の報酬は家庭裁判所が本人の財産状況等を踏まえて決定します。守谷市では、後見事務の報酬に対する助成制度も設けられているため、詳しくは健幸長寿課へご確認ください。
Q. 家族信託と成年後見制度、どちらを選べばよいですか?
A. 家族信託は判断能力が十分なうちに契約を結んでおく仕組みで、成年後見制度より柔軟な財産管理が可能な場合がありますが、契約時に本人の判断能力が必要な点は任意後見と同様です。どちらが適しているかは資産状況やご家族の状況によって異なるため、司法書士など専門家への相談をおすすめします。
Q. まだ後見人が決まっていない段階でも、実家の査定相談はできますか?
A. はい、査定のご相談自体は後見人選任前でも可能です。ハウスドゥ 守谷では、将来の資金計画を立てるための概算査定など、後見手続きと並行したご相談も承っています。
Q. 家庭裁判所の許可なしに、後見人が居住用の実家を売却するとどうなりますか?
A. 居住用不動産を許可なく売却すると、その売買契約は無効になる可能性があります。買主や金融機関にも影響が及ぶため、必ず売却前(または許可を条件とした契約)で家庭裁判所の許可を得てください。
Q. 成年後見制度を使って売却したお金は、家族が自由に使えますか?
A. 売却代金は本人の財産であり、使い道は本人の介護費用や施設費用など本人のためのものに限られます。子どもや相続人が自由に使ったり、生前贈与のように分けたりすることは原則できません。
Q. 成年後見の申立てから不動産売却まで、どのくらいの期間がかかりますか?
A. 申立てから審判までは1〜4か月程度で終わるケースが多く、そのあと売却活動と売却許可の申立てが必要です。事案によって大きく異なるため、施設入所費用が必要になる時期から逆算して早めに動くことをおすすめします。
まとめ
認知症などで判断能力が不十分になると、不動産の売買契約は原則として結べなくなり、成年後見制度の利用が必要になります。居住用不動産の売却にはさらに家庭裁判所の許可が必要なため、手続き全体には一定の時間がかかります。守谷市には成年後見制度中核機関(健幸長寿課)や地域包括支援センターといった相談窓口が整っているので、「まだ早いかも」と感じる段階から一度相談しておくことをおすすめします。
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