「親が施設に入ることになり実家を売って費用にあてたいが、認知症が進んでいて契約行為が難しい」というご相談は、不動産の現場でも珍しくありません。本人の判断能力が不十分な状態のままでは、不動産の売買契約を有効に結ぶことができず、そのままでは実家の売却も進められなくなってしまいます。この記事では、そうした場面で関わってくる「成年後見制度」について、守谷市の窓口情報とあわせて整理します。
なぜ認知症が進むと不動産を売却できなくなるのか
不動産の売買契約は法律行為であり、契約の意味や内容を理解したうえで意思表示できる「意思能力」が本人にあることが前提です。民法3条の2では、意思能力を欠く状態で行った法律行為は無効であると定められています。認知症が進行し、判断能力が著しく低下した状態で不動産の売買契約書に署名しても、あとから契約の有効性が争われるリスクがあり、実務上は金融機関や司法書士も契約を進めにくくなります。この状態を解消するために利用されるのが成年後見制度です。
成年後見人が本人に代わって不動産を売却できる根拠
家庭裁判所から選任された成年後見人は、本人に代わって財産管理や契約行為を行う権限を持ちます。ただし、本人が実際に住んでいる(または住んでいた)居住用不動産を売却する場合は、民法859条の3により、あらかじめ家庭裁判所の許可を得ることが必要とされています。これは、本人の生活の場である不動産を後見人が安易に処分してしまうことを防ぐための仕組みです。許可を得るまでには一定の期間がかかるため、施設入居のタイミングなどから逆算して早めに手続きを始めることが重要です。

守谷市の成年後見制度中核機関とは
守谷市では「守谷市成年後見制度利用促進基本計画」にもとづき、市役所健幸長寿課に「守谷市成年後見制度中核機関」を設置しています。中核機関は、制度の普及啓発、相談対応から申立書作成の手伝い、地域ネットワークの構築、そして後見人等への支援(後見事務の報酬に対する助成を含む)という4つの取り組みを行っています。「何から始めればいいか分からない」という段階でも、まずはこの窓口に相談することで、申立てまでの流れを具体的に案内してもらえます。
申立て先と費用の目安
守谷市に住所がある場合、法定後見の申立て先は水戸家庭裁判所龍ヶ崎支部です。申立てにかかる費用の目安は、印紙代・登記手数料・郵便切手代などをあわせておよそ20,000円から30,000円程度で、家庭裁判所が本人の判断能力の鑑定が必要と判断した場合は、別途50,000円から100,000円程度の鑑定費用がかかります。申立てを行えるのは本人、配偶者、四親等内の親族などで、申立てを行う親族がいない場合は市区町村長による申立ても可能とされています。
元気なうちに備える「任意後見制度」という選択肢
判断能力が十分あるうちに、将来に備えて自分で支援者と支援内容を決めておく「任意後見制度」もあります。守谷市に住所がある場合、任意後見契約の締結は取手公証役場で行います。実際に判断能力が不十分になった段階で、家庭裁判所(水戸家庭裁判所龍ヶ崎支部)へ任意後見監督人の選任を申し立てることで支援が始まります。「実家をいずれ売却するかもしれない」という見通しがあるなら、判断能力が十分なうちに任意後見契約を結んでおくことで、将来の手続きがスムーズになります。
実家の売却を見据えた早めの相談を
成年後見の申立てから審判までは一定の期間がかかり、さらに居住用不動産の売却には家庭裁判所の許可も別途必要になります。「施設の入居費用を実家の売却でまかないたい」という場合、費用が必要になる時期から逆算して、後見制度の利用と不動産売却の両方を早めに並行して進めることが大切です。不動産会社への査定相談は後見人選任前の段階からでも可能ですので、まずは概算の売却価格を把握しておくと、その後の資金計画も立てやすくなります。
よくある質問(FAQ)
Q. 認知症の親名義の実家を、子どもが代わりに売ることはできますか?
A. 親権のような包括的な代理権は子どもに自動的には認められません。成年後見人として家庭裁判所から選任されるか、判断能力が十分なうちに任意後見契約や家族信託などの準備をしておく必要があります。
Q. 成年後見人になれば、すぐに実家を売却できますか?
A. 本人が住んでいる(住んでいた)居住用不動産の場合、成年後見人の選任後も、売却前に家庭裁判所の許可を別途得る必要があります。許可には一定の期間がかかるため、早めの準備が必要です。
Q. 守谷市で成年後見の相談はどこにすればよいですか?
A. 守谷市役所健幸長寿課(電話:0297-45-1111)が守谷市成年後見制度中核機関の窓口です。ほかに守谷市北部・南部地域包括支援センターや守谷市社会福祉協議会でも相談を受け付けています。
Q. 成年後見人の報酬はどのくらいかかりますか?
A. 専門職後見人(弁護士・司法書士など)の報酬は家庭裁判所が本人の財産状況等を踏まえて決定します。守谷市では、後見事務の報酬に対する助成制度も設けられているため、詳しくは健幸長寿課へご確認ください。
Q. 家族信託と成年後見制度、どちらを選べばよいですか?
A. 家族信託は判断能力が十分なうちに契約を結んでおく仕組みで、成年後見制度より柔軟な財産管理が可能な場合がありますが、契約時に本人の判断能力が必要な点は任意後見と同様です。どちらが適しているかは資産状況やご家族の状況によって異なるため、司法書士など専門家への相談をおすすめします。
Q. まだ後見人が決まっていない段階でも、実家の査定相談はできますか?
A. はい、査定のご相談自体は後見人選任前でも可能です。ハウスドゥ 守谷では、将来の資金計画を立てるための概算査定など、後見手続きと並行したご相談も承っています。
まとめ
認知症などで判断能力が不十分になると、不動産の売買契約は原則として結べなくなり、成年後見制度の利用が必要になります。居住用不動産の売却にはさらに家庭裁判所の許可が必要なため、手続き全体には一定の時間がかかります。守谷市には成年後見制度中核機関(健幸長寿課)や地域包括支援センターといった相談窓口が整っているので、「まだ早いかも」と感じる段階から一度相談しておくことをおすすめします。
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