空き家の水道料金はなぜ発生?基本料金の仕組みとエリア別料金
「誰も住んでいない空き家なのに、なぜ水道料金の請求書が届くのだろう?」これは、空き家所有者の多くが抱く共通の疑問です。長年使っていない家のポストに請求書が入っていれば、不思議に思うのも当然です。
結論から言うと、たとえ一滴も水を使っていなくても、水道の契約が続いている限り「基本料金」は発生し続けます。これは、いつでも蛇口をひねれば安全な水が出てくる状態を保つためのインフラ維持費のようなものです。水道管のメンテナンスや水質検査、メーター管理といった、私たちが安心して水を使える環境を守るための費用であり、水道を利用する権利への対価と考えると分かりやすいでしょう。
このセクションでは、空き家の水道料金を構成する「基本料金」の仕組みを詳しく解説し、守谷市・つくばみらい市・常総市の具体的な料金体系を例に、年間の負担額をシミュレーションします。この基本料金の存在こそが、空き家が抱える維持費の問題を考える上での重要な出発点となります。
なぜ未使用でも空き家の水道料金がかかるのか?「基本料金」の正体
水道料金は、大きく分けて2つの要素で構成されています。
- 基本料金:水道の使用量にかかわらず、水道メーターの口径(サイズ)に応じて毎月定額で発生する料金。
- 従量料金:実際に使用した水の量に応じて加算される料金。
空き家の場合、水を使っていないため「従量料金」はゼロ円です。しかし、水道の契約を解約しない限り、「基本料金」の部分は継続して請求されます。
これは電力会社の基本料金などと同じ仕組みです。水道局は、空き家であってもいつでも水が使えるように、地域の水道管網全体の点検や修繕、浄水場施設の維持管理を常に行っています。この費用を、サービスを利用する可能性のある全ての家庭で公平に分担しているのが基本料金の考え方です。
特に空き家では、水道管の管理が重要です。長期間水が流れないと、管内に水が滞留して水質が劣化したり、冬場には凍結による水道管の破裂といったリスクも高まります。基本料金を支払って契約を維持することは、こうしたトラブルを防ぎ、いざという時にすぐ水が使える状態を保つ意味合いもあるのです。
【エリア別】守谷市・つくばみらい市・常総市の水道基本料金
では、実際に守谷市周辺エリアではどのくらいの基本料金がかかるのでしょうか。料金は市町村の水道事業体によって異なり、一般的に2ヶ月に一度の請求となります。ここでは、一般的な家庭で最も多く使われている「口径20mm」のメーターを例に見ていきましょう。
※下記は執筆時点の税込み料金です。最新の料金は各市町村の水道局にご確認ください。
守谷市の場合(2ヶ月あたり)
- 基本料金(口径20mm):2,728円
- つくばエクスプレス(TX)沿線の発展に伴い、安定した水道供給体制の維持に努めており、そのインフラコストが基本料金に反映されています。
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つくばみらい市の場合(2ヶ月あたり)
- 基本料金(口径20mm):2,310円
- 守谷市と比較すると基本料金がやや低めの設定ですが、こちらも人口増加が見られるエリアであり、将来的なインフラ整備も考慮された料金体系です。
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常総市の場合(2ヶ月あたり)
- 基本料金(口径20mm):2,970円
- 豊かな水源を持つ一方、広域にわたる水道管の維持管理が必要なため、基本料金は周辺市と比較して若干高めに設定されています。
このように、お持ちの空き家がどの市にあるかによって、基本料金には差があることがわかります。
年間コストはいくら?固定費としての空き家の水道料金
2ヶ月ごとの請求額だけを見ると少額に感じるかもしれませんが、これを年間の「固定費」として捉えると印象は大きく変わります。先ほどの料金を基に、年間の負担額を計算してみましょう。
守谷市での年間負担額シミュレーション
- 2,728円(2ヶ月分) × 6回 = 年間 16,368円
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つくばみらい市での年間負担額シミュレーション
- 2,310円(2ヶ月分) × 6回 = 年間 13,860円
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常総市での年間負担額シミュレーション
- 2,970円(2ヶ月分) × 6回 = 年間 17,820円
水を使っていないにもかかわらず、年間で約1万4千円から1万8千円近くの出費が発生していることになります。5年、10年と空き家の状態が続けば、合計で7万円、15万円と決して無視できない金額に膨れ上がります。
もちろん、空き家の維持には固定資産税や建物の修繕費、火災保険料などさまざまなコストがかかります。水道の基本料金は、数ある維持費の一つに過ぎません。しかし、この「使っていなくても払い続ける費用」は、空き家所有の経済的負担を具体的に示す、分かりやすい指標です。
空き家の水道、解約すべき?メリットと重大なデメリット
年間数万円にのぼる空き家の水道料金。「もったいない」と感じ、契約の「解約(休止)」を考えるのは自然なことです。解約すれば水道料金の支払いはゼロになり、コストを削減できます。しかし、この判断は目先のメリットだけで安易に下すべきではありません。なぜなら、空き家の水道を止めることには、コスト削減というメリット以上に、建物の資産価値を大きく損なう重大なデメリットが潜んでいるからです。
メリット:目先のコスト削減
空き家の水道料金をゼロにする解約のメリットは、やはり「コスト削減」です。毎月または隔月で発生する基本料金の支払いがなくなるため、年間で約1万4千円から1万8千円の維持費を確実に削減できます。他の維持コストがある中で、確実に削れる項目として魅力的に映るでしょう。

重大なデメリット:安易な解約が招く建物の劣化と将来の出費
しかし、水道を止めるデメリットは、目先のコスト削減をはるかに上回るリスクを伴います。安易な判断が、かえって将来的に大きな出費やトラブルを招き、結果として空き家の資産価値を大きく損なう可能性があります。
1. 配管の錆や腐食、水漏れリスクの増大
水道管に水が通らなくなると、配管内部が乾燥し、空気に触れることで錆や腐食が急速に進行します。特に古い金属製の配管では顕著です。一度錆びて脆くなった配管は、いざ再開栓する際に水圧の変化に耐えきれず、破裂や水漏れを引き起こすリスクが高まります。壁や床が水浸しになれば大規模な修繕が必要となり、修繕費用は数十万円から百万円を超えることもあり、節約した水道料金をはるかに上回る出費となりかねません。
2. 排水トラップの封水切れによる悪臭・害虫の侵入
住宅のシンクや浴室などの排水口には、「排水トラップ」というS字状の部分があり、常に「封水(ふうすい)」と呼ばれる水が溜まっています。これが下水管からの悪臭や害虫(ゴキブリ、ネズミなど)の侵入を防ぐフタの役割をしています。 空き家の水道を止めて長期間水を使わないと、この封水が蒸発して「封水切れ」の状態になります。すると、下水の悪臭が室内に充満し、下水管を通じて害虫が室内に侵入し放題になります。カビも繁殖しやすくなり、建物全体の衛生状態が悪化します。
3. 再開栓の手間と費用、売却時の足かせ
水道を一度解約すると、空き家を売却したり賃貸に出したりする際には、再度契約手続きと開栓作業が必要です。開栓手数料が発生する場合や、前述の配管トラブルが発覚すれば高額な修繕費用もかかります。手続きや工事には時間がかかるため、売却や賃貸の機会を逃す可能性もあります。買主や借主はすぐに生活できる状態の物件を求めるため、水道が使えない状態では内覧時の印象も悪く、契約のハードルが上がります。
4. 火災時のリスク増大
万が一、空き家の周辺で火災が発生した場合、消防隊は近隣の消火栓や住宅の水道を利用して消火活動を行うことがあります。空き家の水道が止められていると、その水源が利用できず、初期消火や延焼防止の妨げになる可能性があります。これは所有者としての社会的な責任という観点からも、軽視できない問題です。
専門家の視点:空き家の水道料金と資産価値のバランス
年間数万円の空き家の水道料金は確かに負担です。しかし、安易な解約で生じる配管劣化や害虫侵入といったデメリットは、目先の節約額をはるかに超える「負債」となり得ます。空き家を「資産」として考えるなら、その価値を維持・向上させるための適切な管理が不可欠です。「とりあえず止めておこう」という判断が、将来的に大きな出費を招くことを理解しておくべきです。
水道を止めずに空き家を管理する「通水」の重要性と具体的な方法
空き家の水道を安易に解約することには大きなリスクが伴います。では、空き家の水道料金を払い続けながら、資産価値を維持しトラブルを防ぐにはどうすれば良いのでしょうか。その答えが、定期的な「通水(つうすい)」です。
通水とは、月に1〜2回程度、空き家を訪れて家中の蛇口から水を流し、水道管や排水管に新しい水を循環させる、シンプルですが極めて重要な管理作業です。これを怠ると、建物の劣化は急速に進み、気づいた時には高額な修繕費用が必要になることも少なくありません。このセクションでは、通水の重要性と具体的な方法、注意点を解説します。

なぜ「通水」が空き家の寿命を延ばすのか?
通水が重要な理由は、大きく分けて「配管の保護」と「悪臭・害虫の防止」の2つです。
1. 配管の錆び付き・腐食を防ぐ
水道管は、長期間水が流れずに滞留していると内部から錆び付きます。特に古い鉄管では錆が進行し、赤茶色の濁った水(赤水)が出たり、管が腐食して穴が開き漏水を引き起こしたりします。見えない場所での漏水は、建物の土台や柱を腐らせる深刻な事態に発展しかねません。定期的に通水して配管内に新鮮な水を循環させることで、錆の発生を抑制し、水道管の寿命を延ばすことができます。
2. 排水トラップの「封水切れ」を防ぎ、悪臭・害虫をシャットアウト
キッチンや浴室などの排水口の下には、S字状の「排水トラップ」があり、「封水」と呼ばれる水が溜まっています。この水が下水管からの悪臭や害虫の侵入を防ぐフタの役割を果たしています。しかし、長期間水を使わないと封水は自然に蒸発し、「封水切れ」の状態になります。これにより下水の強烈な臭いが室内に充満し、害虫の侵入経路が開かれてしまいます。通水は、この排水トラップに新しい水を補充し、封水切れを防ぐ最も効果的な対策です。
【実践編】今日からできる!正しい通水の方法とチェックリスト
ご自身で管理される方向けに、具体的な通水の手順とチェックリストをご紹介します。
通水の頻度と時間
- 頻度: 最低でも月に1回。できれば2週間に1回が理想です。
- 時間: 家中のすべての蛇口から、それぞれ1〜3分程度水を流し続けます。
具体的な手順
- 換気: まず家中の窓をすべて開け、空気を入れ替えます。通水で室内の湿度が上がるため、カビ防止のためにも換気は必須です。
- すべての蛇口から通水: キッチン、洗面所、浴室(シャワー、カラン)、洗濯機用の水栓、屋外の散水栓など、すべての蛇口から水を流します。お湯側の蛇口も開けて給湯器を短時間作動させると、機器の固着防止にもつながります。
- トイレを流す: トイレも必ず1〜2回水を流し、便器内の封水を入れ替えます。
- 排水口への注水: 最後に、すべての排水口にコップ1杯程度の水をゆっくり流し入れ、排水トラップに確実に水を満たします。
- 後片付けと確認: 通水後、蛇口がしっかり閉まっているかを確認し、窓の施錠を忘れないようにしましょう。

【守谷エリア特有の注意点】冬場の水道管凍結・破裂対策
守谷市、つくばみらい市、常総市といった地域は、冬になると気温が氷点下まで下がることがあります。空き家で特に注意したいのが、この冷え込みによる「水道管の凍結・破裂」です。人が住んでいれば生活用水を使うため凍結しにくいのですが、空き家では水が動かないため非常に凍結しやすくなります。水道管が凍結・破裂し、春になって氷が溶けた途端に大量の水が噴き出し、家全体が水浸しになるという最悪のケースも考えられます。
これを防ぐためには、通水と合わせて以下の対策を行いましょう。
- 水抜き栓の活用: 最も確実なのは、敷地内にある「水抜き栓」を操作して、家全体の水道管から水を抜いてしまうことです。特に長期間家を空ける場合は必須です。
- 保温材の設置: 屋外に露出している水道管や給湯器の配管、水道メーターには、専用の保温材や古いタオルなどを巻き付けて凍結を防ぎます。
- 専門家への相談: 水抜き栓の場所や操作方法がわからない場合は、無理せず専門家に依頼するのが賢明です。
遠方にお住まいなど、ご自身で定期的に管理するのが難しい場合は、地域の不動産会社が提供している空き家管理サービスを利用するのも有効な選択肢です。
水道料金は氷山の一角。空き家にかかる本当の維持費とリスク
空き家を所有し続けるコストは、月に数千円の空き家の水道料金だけではありません。むしろ空き家の水道料金は、維持費全体から見れば「氷山の一角」に過ぎません。「誰も住んでいないからお金はかからない」という考えは危険です。ここでは、空き家を所有し続けることで発生する経済的・社会的なリスクを網羅的に解説します。
税金や保険料など、避けられない「5つの固定費」
空き家は、ただ所有しているだけで毎年着実にお金を消費していきます。主な維持費として、以下の5つが挙げられます。
固定資産税・都市計画税 不動産を所有している限り納税の義務があります。市街化区域内であれば都市計画税も課税されます。現在は「住宅用地の特例」で税金が軽減されていますが、後述する「特定空家」に指定されると、この優遇措置が適用されなくなります。
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火災保険料・地震保険料 空き家は放火のターゲットになりやすく、漏電や自然災害による火災リスクも存在します。万が一、火災で隣家に被害が及んだ場合、所有者として莫大な損害賠償責任を負う可能性があるため、保険への加入は必須の備えです。
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建物の修繕・メンテナンス費用 家は人が住まなくなると急速に傷みます。換気不足によるカビや腐食、雨漏りや外壁のひび割れなどを放置すれば、修繕費用は雪だるま式に膨れ上がります。
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庭木の手入れ・草刈り費用 伸び放題の雑草や木の枝は、景観を損ない、害虫の発生源となります。越境した枝葉が原因で近隣トラブルに発展するケースも少なくありません。専門業者に依頼すれば定期的なコストが発生します。
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地域・管理組合の費用 地域によっては町内会費や自治会費がかかります。マンションの一室であれば、管理費や修繕積立金の支払い義務も継続します。
これらを合計すると、守谷市やつくばみらい市内にある一般的な戸建ての場合でも、年間30万円から50万円以上の維持費がかかっているケースは決して珍しくありません。
最悪の場合、税金が6倍に?「特定空家」の恐怖
管理が不十分な空き家を放置し続けると、「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づく**「特定空家」**に指定される可能性があります。
「特定空家」とは、倒壊の危険性や衛生上の有害性、景観の阻害など、放置することが不適切だと行政が判断した空き家のことです。守谷市や常総市などでも、この法律に基づき実態調査が進められています。もし「特定空家」に指定され、行政からの「勧告」を受けると、固定資産税の「住宅用地の特例」が適用されなくなり、土地の税額が最大で6倍に跳ね上がってしまいます。
さらに勧告に従わない場合は「命令」が出され、最終的には行政が強制的に建物を解体し、その費用(数百万円にのぼることも)が所有者に請求される「行政代執行」という最も重い措置が待っています。
資産価値が目減りする現実
つくばエクスプレス(TX)沿線の開発が進む守谷市やつくばみらい市は、現在も不動産市場は堅調に推移しています。しかし、全国的な人口減少と住宅の供給過多という大きな流れは、このエリアも例外ではありません。
適切に管理され、すぐに住める状態の物件は今後も安定した需要が見込める一方、管理されていない空き家は、買い手から敬遠され、市場から取り残されていく傾向がより顕著になると予測されます。
放置期間が長引くほど建物の劣化は進み、修繕費用は増大します。その



